2026.07.30

TOKYO PRO Marketの可能性と実態
~信用力向上・資金調達・流動性の実態を踏まえた最新の動向~

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1. はじめに                                                                             

 TOKYO PRO Market(以下「TPM」)は、東京証券取引所が運営するプロ投資家向けの株式市場です。売上高や利益といった形式的な上場基準を設けていない点に特徴があり、近年、その活用への関心が高まっています。
 IPOの全体件数が減少傾向にある一方で、TPMへの新規上場は増加傾向にあり、2024年には過去最多となる50社が新規上場を果たしました。2026年6月末時点でTPMの上場会社数は183社にまで拡大しており、これまでに累計237社がTPMに上場し、うち15社が一般市場(プライム・スタンダード・グロース市場、および地方取引所の新興市場)への上場を実現しています。TPM上場会社数および新規上場(IPO)件数の推移は、それぞれ図1・図2のとおりです。
 また東証は、2025年4月にグロース市場の上場維持基準を厳格化する方針(上場後5年経過時点で時価総額100億円以上など)を公表し、さらにその後の公表資料で「TPMを一般市場への上場や、その後の成長に向けた助走の場として活用する」という方向性を示しました。これを受け、成長企業がTPMを経由して一般市場へのステップアップを目指すケースは、今後さらに増加すると考えられます。
 一方で、TPMの実態を冷静に見ると、上場しただけで十分な資金調達が実現する市場ではなく、株式の流動性も極めて限定的であるなど、留意すべき特徴もあります。
 本稿では、TPMの制度概要や上場するメリットに加え、資金調達や流動性をめぐる実態、これまでの活用事例、さらに検討に当たって押さえておくべきポイントを整理し、成長企業にとってTPMが有効な選択肢となり得るのかをわかりやすく解説します。

【図1】TPM上場会社数の推移

(出所:東京証券取引所「プロマーケットの今後の方向性について(2025年11月13日).P5」を基に2025年12月末時点の実績に修正の上、弊社作成

【図2】新規上場(IPO)件数の推移(TOKYO PRO Marketとその他)

(出所:日本取引所グループ「最近のIPOの状況」を基に弊社作成)

2. TOKYO PRO Marketとは何か

2.1 TPMを取り巻く環境変化

 TPMは2009年、東京証券取引所がロンドン証券取引所との合弁で開設した「TOKYO AIM」を前身とし、2012年に東証単独運営の市場として改称された、プロ投資家向けの「特定取引所金融商品市場」です。その後の数年で利用環境が大きく変化してきました。
 第一に、2022年7月の制度改正により、特定投資家(プロ投資家)に移行可能な個人の対象範囲が拡大されました。従来は「取引経験1年以上」「投資性金融資産3億円以上」「純資産3億円以上」のすべてを満たす必要がありましたが、年収・純資産・取引頻度・特定の知識経験などの組合せ要件のいずれかを満たせばよい形に緩和され、プロ投資家層の裾野は着実に広がりつつあります。
 第二に、グロース市場の上場維持基準見直しが大きな影響を及ぼしています。TPMへの上場支援会社からは「ここ半年、グロース市場を目指していた企業からTPMへ関心の問い合わせが増えている」との声が聞かれ、グロース市場の新基準を充足できる規模の非上場企業からも「上場後の投資家の成長期待に応えるべく、まずTPMで地固めを行ってから一般市場に上場したい」というニーズが寄せられています。TPMに上場しようとする企業の属性は、明らかに変わりつつあります。

2.2 一般市場との違い

 TPMの最大の特徴は、上場基準に形式要件(売上高・利益・時価総額などの数値基準)が設けられていない点です。投資家層がプロ投資家に限定されることを前提に、J‑Adviser(役割の詳細は2.3ご参照)による質的評価(実質基準)を中核とした柔軟な制度設計となっています。

【図3】TPMと一般市場の制度比較

項目プロマーケット(TPM)一般市場
投資家層原則として特定投資家のみ ※売却は一般投資家も可能全ての投資家が売買可能
上場基準形式基準:なし 実質基準:あり形式基準:あり 実質基準:あり
アドバイザー制度あり(J-Adviser) ※ロンドン証取のNomads制度が源流なし
上場審査主体J-Adviser (上場後も継続的に指導・助言)主幹事証券会社+取引所
上場時監査証明最近1年間最近2年間
発行・継続開示様式取引所規則ベース金商法ベース
四半期決算・J-SOX対応任意必須
(出所:東京証券取引所「プロマーケットの今後の方向性について(2025年11月13日).P4」を基に弊社作成)

なお、実質基準については、以下のとおり整理されています。

【図4】実質基準(上場適格性要件)

上場適格性要件J-Adviserによる調査・確認の主なポイント
1. 新規上場申請者が、東京証券取引所(以下「東証」という)の市場の評価を害さず、当取引所に相応しい会社であること・法律体系・会計体系・税制等を理解しているか
・予算統制(年次/半期/月次等)が整備されているか
・上場予定日から12ヶ月間の運転資金が十分であるか
2. 新規上場申請者が、事業を公正かつ忠実に遂行していること・関連当事者取引や経営者が主体的に関与する取引の状況を把握し、牽制する仕組みを有しているか
・代表取締役社長及び役員の資質面に問題が無いか
3. 新規上場申請者のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること・社内規程が整備され、適切に運用されているか
・事業運営及び内部管理に必要な人員が確保されているか
・法令順守のための社内体制が整備され、適切に運用されているか
4. 新規上場申請者が、企業内容、リスク情報等の開示を適切に行い、この特例に基づく開示義務を履行できる態勢を整備していること・上場後の開示体制が整備され、開示規則・開示義務に対して十分な理解があるか
・内部者取引及び情報伝達・取引推奨行為防止のための体制が整備されているか
5. 反社会的勢力との関係を有しないことその他公益又は投資者保護の観点から当取引所が必要と認める事項・反社会的勢力との関係を有していないか
・反社会的勢力排除のための社内体制が整備されているか
・設立以降からの株主の異動状況を把握しているか
(出所:上場基準 | 上場制度(TOKYO PRO Market) | 日本取引所グループを基に弊社作成)

TPM上場会社の規模感を売上高で見ると、中央値は29.2億円です。スタンダード市場の160.4億円、グロース市場の39.3億円と比べても小さく、いわば「中堅・中小企業のための上場市場」と位置付けることができます。

【図5】TPM上場会社の特徴 <直近売上高等の比較(各市場区分の中央値)>

市場区分売上高経常利益当期純利益総資産純資産
TPM (n=149)29.2億円1.1億円0.8億円18.8億円6.2億円
スタンダード (n=1567)160.4億円8.3億円5.7億円181.5億円97.7億円
グロース (n=604)39.3億円2.1億円1.5億円41.8億円21.9億円
(出所:東京証券取引所「プロマーケットの今後の方向性について(2025年11月13日).P6」を基に弊社作成)

 TPMから一般市場へ上場した企業は、これまでに15社にのぼります(東証以外の一般市場へ移行した企業も少なくありません)。これらの企業は、TPM在籍中に中央値で2年程度をかけて企業価値を高めており、一般市場への上場時点での時価総額は中央値で約20億円に達しています。

【図6】TPMから一般市場へ上場した企業

No. 社名 一般市場上場までの期間 一般市場
上場先
時価総額の成長率
①TPM
上場時期
一般市場
上場時期
経過期間
①→②
④TPM
上場時
一般市場
上場時
成長率
(④→⑤)
1 歯愛メディカル 2016年6月 2017年12月 1年6か月 JQスタンダード 240億円 435億円 1.8倍
2 AIAIグループ 2017年10月 2019年12月 2年2か月 マザーズ 11億円 89億円 8.1倍
3 パパネッツ 2017年10月 2025年3月 7年4か月 福証Q-Board 3億円 18億円 6倍
4 ニッソウ 2018年2月 2020年3月
2022年7月
2年1か月 名証セントレックス
グロース
8億円 14億円 1.8倍
5 フロンティア 2018年7月 2021年11月 3年3か月 福証Q-Board 4億円 6億円 1.5倍
6 STG 2019年6月 2024年3月 4年8か月 グロース 27億円 31億円 1.1倍
7 QLSホールディングス 2019年11月 2023年6月
2024年12月
3年7か月 名証ネクスト
グロース
28億円 20億円 0.7倍
8 バルコス 2020年10月 2025年2月 4年4か月 名証ネクスト 10億円 16億円 1.6倍
9 Geolocation Technology 2020年12月 2021年9月 9か月 福証Q-Board 3億円 23億円 7.7倍
10 ジェイ・イー・ティ 2021年3月 2023年9月 2年5か月 スタンダード 111億円 182億円 1.6倍
11 アップコン 2021年7月 2022年12月 1年5か月 名証ネクスト 13億円 12億円 0.9倍
12 アスマーク 2022年1月 2023年12月 1年10か月 スタンダード 11億円 22億円 2倍
13 ブリッジコンサルティングG 2022年5月 2023年6月 1年 グロース 31億円 61億円 2倍
14 日本オーエー研究所 2022年12月 2024年12月 2年 名証ネクスト 3億円 6億円 2倍
15 伸和ホールディングス 2023年1月 2024年10月 1年8か月 札証アンビシャス 7億円 20億円 2.9倍
        中央値
2年1か月
  中央値
11億円
20億円 1.8倍

(出所:東京証券取引所「プロマーケットの今後の方向性について(2025年11月13日).P8」を基に弊社作成)

2.3 J‑Adviserの役割とプレイヤー動向

 TPMでは、上場準備段階での「上場適格性の調査確認」から、上場後の「適時開示の助言・指導」「上場維持要件の適合状況調査」までを、J‑Adviserと呼ばれる認定アドバイザーが一貫して伴走支援する点が大きな特徴です。
 担当上場会社を有するJ‑Adviserの実績を累計の新規上場担当社数で見ると、フィリップ証券が累計237社中91社を担当し最多です(2026年5月29日時点)。近年では、SBI証券、三田証券、佐賀銀行、九州FG証券、タナベコンサルティング、ブリッジコンサルティンググループ、EYソリューションズといった新規参入も相次いでおり、企業側の選択肢も広がりつつあります。

3. TOKYO PRO Market上場のメリット

3.1 信用力・採用・管理体制への効果

 TPM上場のメリットは、単なる資金調達手段にとどまりません。むしろ「資金調達以外の効果」こそがTPMの真価と言えます。
 第一に、信用力の獲得です。上場会社となることで、金融機関からの融資、取引先との新規取引、官公庁案件への参画など、あらゆる場面で信用が大きく向上します。
 第二に、採用・組織力の向上です。「上場企業」というブランドは、特に若手人材の採用において強力な武器となります。
 第三に、ガバナンス・管理体制の高度化です。上場準備プロセスを通じて、内部統制、業務フロー、リスク管理体制などが自然と整っていきます。一方、一般市場のIPOと比べて準備負担が軽いため、段階的に体制強化を進められる点も評価されています。

3.2 経営者からのコメント実例

 TPM上場企業の経営者からは、金融機関からの信用力向上や採用・社内意識の高まりを実感するといった声が多数寄せられています。「資金調達のための上場」ではなく、「信用力を獲得するための経営戦略の一環としての上場」という位置付けが、TPM活用企業の共通項と言ってよいでしょう。

【図7】TPM上場の効果に関するコメント実例

効果分野経営者コメント
知名度・信用力向上の効果-「TPM上場後、銀行からの借入が圧倒的にしやすくなり、業績が大きく伸びた。」
-「経営者保証が外れることで、事業承継がしやすくなるのもメリット。経営者保証が求められると、後継者を育てても事業承継ができない。TPMは、特に地方企業にとって不可欠となりつつある」
-「TPM上場後、当社のみならず当社の役職員も銀行からの信用力が上がり、ローンの借入が行いやすくなったことから、モチベーションの向上が見られている」
一般市場へのステップ-「当社は、業績面では一般市場に直接上場することも可能だったが、社内の管理体制を段階的に整備するため、まずTPMに上場した。TPM上場の効果で優秀な管理系人材を採用でき、一般市場に向けた対応も着実に進められているので、ステップを踏む形にして良かった」
-「TPMに上場することで、『上場会社』としての意識が社内で高まっているのを感じている。もっと頑張って一般市場に行こう、という前向きな空気も生まれている」
(出所:東京証券取引所「プロマーケットの今後の方向性について(2025年11月13日).P19~21」を基に弊社作成)

4. 資金調達・流動性の実態(デメリットと留意点)

4.1 上場すれば資金が集まるわけではない

 一方で、TPMの実態を冷静に直視する必要があります。東証データによれば、2025年9月時点の上場企業のうち、上場時に株式による資金調達を実施したのは6社(4%)、売出しを実施したのは1社(1%)のみ。残る143社(96%)はファイナンスなしでの上場でした。

【図8】TPM上場時の資金調達状況

(出所:東京証券取引所「プロマーケットの今後の方向性について(2025年11月13日).P11」を基に弊社作成)

 流動性も極めて低い水準にあります。2024年に上場していた133社のうち、年間売買が「なし」または「1回のみ」の企業が合計117社(約9割)。「TPMには市場としての流動性はほとんどない」と言わざるを得ません。

【図9】TPMにおける売買状況 (2024年)

(出所:東京証券取引所「プロマーケットの今後の方向性について(2025年11月13日).P11」を基に弊社作成)

 こうした売買の乏しさの背景には、そもそも株主の数が少ないという事情があります。TPM上場企業のうち約9割は株主数が50人未満で、保有者の裾野がきわめて限られています。売り手となり得る株主が少なければ、市場に出てくる売り注文も自ずと乏しくなり、結果として売買が成立しにくいという構造です。「株主の少なさ」と「売買の乏しさ」は互いに原因と結果の関係にあり、TPMの限定的な流動性をかたちづくっています。

【図10】TPM上場会社の株主数

(出所:東京証券取引所「プロマーケットの今後の方向性について(2025年11月13日).P11」を基に弊社作成)

4.2 投資家・経営者の声

 現場の関係者の声は、TPMのメリットのみならず、デメリットも表しています。東証「プロマーケットの今後の方向性について(2025年11月13日)」には、機関投資家・上場企業オーナー・市場関係者の声が収録されています。そこからは次の3点が浮かび上がります。
 第一に、流動性の乏しさが投資の入口を塞いでいます。機関投資家からは、投資意欲はあっても「株式市場において売注文が全くない」ために検討のスタートラインに立てないとの声が寄せられています。
 第二に、資金調達は設計次第で可能です。上場企業オーナーからは、「本気になれば10億円は集められる」とし、実際に想定額を上回る需要が集まり資本政策上断った先もあったとの声が紹介されています。
 第三に、そもそも資金調達を目的としていない企業も少なくありません。市場関係者は、「オーナーシップ(経営権)を維持したまま上場できること」に価値を見出す企業が多いと指摘しています。こうした課題認識を踏まえ、東証は後述する今後の方向性(本コラム5.2)の中で改善策を示しています。

4.3 資金調達における成功事例も存在

 もちろん、TPMで実際に資金調達に成功した事例も存在します。代表例として、五健堂が2021年に9.4億円、筑波精工が2018年に8.7億円を調達しています。直近でもNPT(2025年・3.1億円)、山本通産(2025年・1.9億円)など、独自のビジネスモデルや成長ストーリーを示せる企業はTPMでもプロ投資家の資金を引き寄せています。流動性がなくともプロ投資家をターゲットにアプローチすれば、十分に資金調達は可能と考えられます。

【参考】資金調達又は売出しを実施した会社

社名類型実施年金額
五健堂調達2021年9.4億円
筑波精工調達2018年8.7億円
BABY JOB売出し2024年3.2億円
NPT調達2025年3.1億円
STG調達2019年2.5億円
アーバンライク調達2021年1.9億円
山本通産調達2025年1.9億円
(出所:東京証券取引所「プロマーケットの今後の方向性について(2025年11月13日).P10」を基に弊社作成)

5. どのような活用が考えられるか

5.1 成長企業が検討する際の判断軸

 以上を踏まえると、TPMは「ゴール」ではなく、あくまで成長戦略上の「手段」として位置付けるべきです。具体的には、①一般市場への上場準備としての地固め、②信用力獲得を通じた事業拡大、③プロ投資家からの成長資金獲得、④既存株主への売却機会提供と新株主受入れ、⑤M&A・資本提携の相手探し──といった複数の目的のうち、自社の事業戦略上どれを優先するかを明確化することが、TPM活用の成否を分ける最大のポイントです。

5.2 TPMの今後の方向性(2026年4月の東証発表)

 東証は2026年4月、TPMの今後の方向性を発表しました。注目すべきポイントは以下の3点です。
 第一に、新規上場時および上場後における「上場目的」の開示の働きかけが2026年4月から開始されています。なぜTPMに上場するのか、どのようにTPMを活用したいのかを企業自身が可視化することで、関係者との接点づくりを促進する狙いです。
 第二に、市場関係者と連携した支援策が順次拡充されます。先輩経営者と連携したセミナー、J‑Adviser各社の強み・伴走事例の発信、クロスオーバー投資家との対話イベント、上場料金の見直し等が計画されています。
 第三に、2026年秋を目処として、TPMから一般市場への上場円滑化(上場審査の効率化、開示様式の見直しなど)が予定されています。「TPM→一般市場」を前提とした制度設計が一段と整備される方向です。

5.3 事業承継・M&A・資本提携を見据えたTPM活用

 もう一点、見逃せないのが、TPM上場をM&A・資本提携の機会拡大策として位置付ける動きです。
 東証は2026年4月3日発表の「TOKYO PRO Marketの今後の方向性」において、「M&A・資本提携の相手となる他の事業会社を探したい企業」をTPMの活用ニーズの一つとして明示しました。これは、TPM上場企業自身が事業会社の相手を探す場としてTPMを活用するという意味であり、上場による知名度・信用力向上と監査済財務情報の開示によって、相手企業から買い手・提携候補として認識されやすくなる効果が期待されています。
 また、「TPM上場後、M&Aをしてほしいと声がかかることが増えた。上場企業への売却であれば従業員も安心と思われている。監査付きの財務情報が開示されていることから、M&Aの対象としても一定の安心感がある」との経営者コメント実例も報告されています。
 さらに、こうした効果は買い手としての側面にとどまりません。財務情報や事業内容が一定程度開示されることで、オーナー経営者にとっては、一般市場への上場を目指す選択肢と、M&Aによる事業承継・EXITの選択肢を併存させやすくなる点もメリットです。
 後継者問題に直面するオーナー経営者にとっては、
 (a)一般市場への上場を目指しつつ、
 (b)M&A・資本提携の相手を探し、
 (c)売却・資本提携によるEXITも視野に入れる
 という複数の選択肢を併せ持てる点が、TPMの魅力の一つと言えます。

6. まとめ

  • TOKYO PRO Marketは、上場にあたり形式基準がなく、J-Adviserによる質的な評価を中心に審査が行われるため、一般市場に比べて上場準備や開示・内部管理の負担が軽い。
  • 主なメリットは資金調達そのものよりも、信用力の向上や採用の強化、取引先からの評価、ガバナンスの強化といった点にある。上場企業としての知名度や財務情報の開示が、事業の拡大や組織力の強化につながる点が評価されている。
  • 実際に資金を調達した企業は一部に限られ、年間を通じて売買のない企業も多く、流動性は限られている。ただし、独自のビジネスモデルや成長ストーリーを示せる企業が、プロ投資家から成長資金を得た成功例も見られる。
  • 在籍中に企業価値を高めて一般市場へ移行する事例も見られ、東証も2026年4月以降、上場目的の開示や関係者との連携支援、一般市場への上場円滑化など、TPMを成長企業の助走の場として位置付ける方向性を打ち出している。
  • M&Aや資本提携の機会拡大にもつながる。知名度や信用力の向上、監査済みの財務情報の開示によって、買い手や提携の候補として認識されやすくなり、オーナー経営者は一般市場への上場を目指しながら、売却や資本提携によるEXITも並行して検討できる。



【関連用語】
新規株式公開(IPO)