有利発行

有利発行とは、新株又は新株予約権を引受人にとって特に有利な価格にて発行することである。

既存株主は希釈化(希薄化)による経済的損失を被るおそれがあることから、取締役は、株主総会において、当該払込金額で募集することを必要とする理由を説明のうえ、募集事項の決定は株主総会の特別決議によらなければならない。

特に有利発行に該当するかどうかは、日本証券業協会の「第三者割当増資の取扱いに関する指針」によれば、原則として払込金額が、増資のための取締役会決議の直前日の市場株価(又は、最長6ヶ月前から直前日までの期間の株価平均)の90%以上かどうかにより判断される。
なお、税務上は有利な払込価額とみなされた場合には、時価と払込価額の差額について、払込者に受贈益課税される可能性がある。税務上の有利な払込金額とは、会社法の概念と概ね似ているが、同一のものではないことに留意が必要である。
実務上は、優先株式(種類株式)や新株予約権の発行等においては、市場価格が存在しないため、有利発行に該当しないことを説明するために、第三者算定機関に評価を依頼する場合や、念のために株主総会決議を経ることもある。

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